過払い金返還請求に関する信用情報機関の動向
1月14日 産経新聞より
「利息返還請求」履歴、残さず 金融庁が方針
金融庁の田村謙治政務官は14日、利用者が消費者金融などに対し過去に払いすぎた利息の返還を求める「過払い利息の返還請求」について、履歴を個人の信用情報に反映させない方針を明らかにした。6月をめどとする改正貸金業法の完全施行を前提にした措置。
2006年1月の最高裁判決を契機に、利息制限法の上限金利を超えて支払っていた分の返還請求が急増している。
消費者金融各社は、加盟する「日本信用情報機構」(JICC)に顧客の借入残高や返済状況のほか、返還請求の履歴についても登録して共有している。
ただ、最近は返還請求の急増で、消費者金融各社の経営が悪化する中、請求を理由に、新規融資を拒否する事例が出ているとの指摘があった。
金融庁は顧客保護の観点から、返還請求の履歴は「信用情報に当たらないと判断した」(田村政務官)という。
多重債務者問題の解消を目的とした改正貸金業法は2010年6月までに貸出上限金利の引き下げや貸出総額を年収の3分の1以下にする
「総量規制」を導入することが柱。総量規制は利用者の借り入れ状況を正確に把握することが必要不可欠になる。
(※詳しくは総量規制について)
金融庁は信用情報の精度を高める一方で利用者に著しく不利になりかねない情報の消去も促す。過払い金の返還請求が信用情報機関に記録として残らなくなれば、借り入れができなくなるリスクを恐れていた利用者の請求が増える可能性もある。
アコム、プロミス、武富士、アイフルの大手4社が2009年3月期に返還した過払い金は合計3000億円強に達した。
過払い金の返還請求が一段と増えれば、消費者金融の業績を一段と圧迫する可能性がある。事実、アイフル(事業再生、2009年9月18日)ロプロ(会社更生法、2009年11月2日)などの状況があります。