損害賠償請求の法的手続き

もし任意保険会社と交渉の末、示談が成立しなかった場合には、財団法人交通事故紛争処理センター(紛セン)に持ち込み、和解を斡旋してもらうか、法的手続きを取って裁判所に持ち込み、調停や訴訟にする方法があります。

紛センでは相手方が共済の保険に加入していない場合で、相手方が紛センでの解決を拒否した場合、和解斡旋の手続きを取ることができません。また、裁判所の場合でも調停の場合、あくまでも裁判所が間に入っての話し合いであるため、相手が応じなければいつまでたっても解決しません。

訴訟の途中で裁判所から和解勧告が行われ、裁判上の和解になる場合もありますが、和解にならない場合は判決となるため、心理的プレッシャーから、調停と比較して和解が成立しやすいとされています。

訴訟は法律上、ご自身で行って頂くことは可能です。しかし、交通事故の裁判では専門的な知識や判断、裁量があるため、ご自身で全てを行われるのは難しいと言わざるを得ません。このため、弁護士に相談することが訴訟をスムーズに進めるメリットでしょう。

訴訟を進める上で訴える相手先、いわゆる被告を誰にするかということも検討材料です。
運転者本人はもちろんですが、自動車の所有者や勤務時間中であれば相手方の勤務先会社などいくつかのケースが考えられます。相手先が多ければ多いほど、多くの損害賠償が請求できると思われがちですが、実際には解決に余計な時間や労力がかかってしまい、長引くことでのコストも増加してしまいます。要望を踏まえて、弁護士に相談する事が良いでしょう。

損害額の立証責任は被害者側にありますので、治療に関する領収書等の各種資料は整理し、必ず取っておくことが必要です。被害者しか証拠を集めることができませんので、弁護士と相談しながら証拠資料の収集に努める必要があります。