逸失利益の計算について

逸失利益とは、本来の寿命までの間に得られるであろう収入と、死亡や後遺障害によって喪失・減額された場合の収入の差額のことです。被害者の方の様々な思いもあるかと思いますが、現状の収入や、収入がない場合は賃金センサスを元に計算されます。

死亡の場合
収入(年収)×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対するライプニッツ係数(ホフマン係数)
例えば、年収400万円の人が、交通事故で死亡しなければあと10年は働けるはずだったケースでは、4000万円の損失となります。ただし4000万円満額を貰えるのではなく、金利と生活費が控除されます。

保険金は一括で支払いを受けるため、前もって受け取る分に対する利息分(年5%)を控除されます。また、被害者が死亡事故で亡くなったことで本来生存していればかかっていた生活費が発生しなくなるのでこれが控除されます。

生活費の控除率の目安
・被害者が一家の支柱であるとして、被扶養者が一名:40%、被扶養者が二名以上:30%
・女子は30%
・扶養のいない男子は50%

また、年金は生活費に消費される可能性が高いとの理由で、一般の死亡事故例よりも高い割合で生活費控除がなされる場合が多くあります。

後遺障害の場合
年収×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ(ホフマン)係数
例えば、年収350万円の30歳の男性が5級の後遺症を負った場合、労働能力喪失期間・就労可能年数は37年とされ、これに対応するライプニッツ係数は16.711であり、労働能力喪失率は79%とされますので、逸失利益の計算は次のようになります。

350万円×79%×16.711=4620万5915円

»労働能力喪失率
»ライプニッツ係数
ただし、障害の内容、部位、年齢などによっては期間に応じた漸減が認められることもあります。例えば、ムチ打ち損傷で12級と認定された場合は5年~10年、14級と認定された場合は3年~5年で処理される事が多くなっています。