離婚時に発生するお金の問題
離婚を考える際には子供の親権、慰謝料、財産の精算など様々な問題が存在します。
その大きな割合を占めるのが、お金の問題です。特に協議離婚の場合には、正式に離婚が成立する前に、慰謝料・財産分与・養育費について、必ず夫婦間で取り決めをしておくことが大切です。
また、後で言った・言わないで揉めないよう、慰謝料・財産分与・養育費について取り決めをした後、離婚協議書や公正証書などの正式な書面にして残しておくと良いでしょう。
慰謝料
慰謝料は、離婚が相手方の有責行為が主な原因の場合に、精神的苦痛に対する損害賠償として請求できます。主なポイントは以下の通りです。
- 慰謝料の金額の算定に明確な基準はない。
- 暴力や虐待など通常の不法行為の他、不貞行為、生活費の不払いなど、婚姻上の義務違反についても含まれます。
- 有責行為であったとしても、その程度が軽い場合は慰謝料を払わせるほどではないと判断される場合もあります。
- 請求可能期間は不法行為から3年以内です。
年金分割について
日本の公的年金制度は、国民年金、厚生年金、共済年金に分かれています。そして、多くの方が第3号保険者として、配偶者の扶養で国民年金に加入しているかと思います。第3号保険者とは会社員や公務員などの配偶者のことで、扶養になっている方で、自身の所得からは国民年金を支払っていない方の事です。
夫は旧来の年金制度では、夫は厚生年金に入っていたので年金所得は多いが妻は扶養で国民年金に加入していただけで年金所得が低く、離婚した場合に生活が厳しくなるという不公平がありました。結婚している期間に支払った保険料は夫婦が共同で納めたものとみなすという観点から年金分割制度が施行されました。
年金分割には2007年(平成19年)4月から施行された「合意分割制度」と2008(平成20年)4月より施行された「3号分割制度」の2つがあります。
2008年4月以前については夫婦間の合意の元、年金の分割の割合を決めることができ(最大で50%)、2008年4月以降の第3号被保険者期間については配偶者が納めた厚生年金の保険料の半分を第3号被保険者が納めたものとして将来の年金を計算してくれるようになるというものです。
ただし気をつけなければならないのは「年金の受給要件(年齢、納付期間など)を守らなければいけない」ということです。仮に離婚したのが63歳であれば、65歳の受給開始までの間は国民年金や厚生年金に加入して支払いを続ける必要があります。ただし離婚後すぐに仕事がない場合や所得が低いなど、経済的な事情で保険料を納めることが困難な場合は、国民年金の保険料を減免することは可能です。